2010年08月29日

〜視覚障害者アスリート今井裕二さんとの出逢い〜パートG

2008年3月31日

第11回九州チャレンジ陸上競技選手権大会


忘れもしない・・・


あの会場のどよめき


たまらない緊張感


二人が一つになれた


北京パラリンピック最終選考大会

今井さんと私は1年半かけて信頼関係を深めて、再度今井さんの得意とする「走り幅跳び」で北京大会を目指そうとその日まで練習を重ねていました。

走り幅跳びや三段跳びでの私の役目は・・・「コーラー」

伴走ではなく・・・コーラー


言わば、視覚障害者の砂場への案内人

砂場の近くにある踏切り板から声を掛けて方向やリズムを伝える

視覚障害者はその声を頼りに真っ直ぐ走り、合図に合わせてジャンプ


北京パラリンピック参加標準A記録は・・・5m70cm


当日に跳べる可能性は五分五分でした

この日のために、フォームを改善しジャンプをスムーズにさせて過去に痛めている足にできるだけ負担にならない跳躍を二人で見つけてきました。

前日に九州入りし、練習場所として用意されていた競技場に向かいました。

今までやってきたことを発表する場

二人の心は晴れていました。

軽めにリズム系のトレーニングで調整して、予約していたホテルに行きました。

その夜・・・・

今までにない二人が一つになれた瞬間がありました。

今まではそれぞれがばらばらにイメージトレーニングをしていたのですが、初めてどちらから言うわけでもなく一緒にイメージトレーニングをしようということになりました。

お互いの手を取り合って・・・

お互いに目をつむって・・・

会場の雰囲気

呼吸

そして、いつも掛ける言葉

全ては本当の試合のその場にいるように感じられました。

1本目・・・5m51cm

今までの練習で跳んだここ最近の最高は5m50

1本目からベスト記録を更新

2本目・・5m57cm

どんどん記録が伸びていき

迎えた3本目・・・5m72cm

ここで北京パラリンピック参加記録を更新!!

その後は記録が伸びず・・・

でも北京の切符を手に入れるというイメージでした。

時間も競技をしている時間ぐらい一緒にイメージトレーニングをしていました。

「いけますよ!!今井さん!!」

「楽しみやね〜野口くん!!」

そんな言葉を交わしながらの前日の夜はとても楽しいものでした。


迎えた当日・・・

いよいよ私たちが出場する種目

F11(全盲選手のフィールド競技)の走り幅跳びの時間がきました。

「今井さん、今までの集大成ですよ!!」

「そうやね!!昨日のイメージ通り宜しくお願いします!!」

こんなに心地よい緊張感は私の陸上人生で初めてでした。

今井さんには感謝の気持ちでいっぱいで、何とか北京への切符を取りたい一心でした。

迎えた1本目・・・

「今井さん、いきますよ〜!!」

「1本目!!はい、はい、はい、はい・・・・・」

「いきま〜す!!」

「ハイ!!」

・・・

記録・・・

5m53cm

「おおおおおお!!」

会場内どよめきが響きました。

1位の高田さんも前半は不調で同じような記録を重ねていました。


昨日のイメージトレーニングでの記録も越えるジャンプ

そして、今井さん自身もシーズンベスト!!

〜これはいける!!〜

そう確信しました。

視覚障害者が跳躍をする時に一番難しいのはしっかり踏切り板に足を乗せること。

健常者の大会と同じで踏切り板から足が出てしまうとファールになってしまいます。

2本目・・・

記録・・・5m57cm


なんというか・・・感情が出てきそうになるぐらい感動する跳躍でした。


そして3本目・・・

記録・・・5m61cm


いよいよ北京までの距離が10cmを切りました・・・

今までに感じたことの無い感覚

毎回コーラーするたびに鳥肌が立っていました。

4本目・・・

ここで、思い切って助走スピードを上げて跳躍することにしました。

結果・・・ファール

このファールをきっかけにもう一度今までのトレーニングを思い返すとともに、二人でやってきた練習や今までの環境などなど振り返るために

5本目はパスしました。

心を落ち着かせて挑んだ最終6本目・・・

〜今井さん、ありがとう〜

心の中ではこの舞台に一緒に立たせてもらえたことへの感謝しか浮かびませんでした。

〜絶対北京への切符を取りましょうね!!〜

心の中でお互いに会話していました。

〜野口くん、ありがとう〜

〜最後は自分の力を全て出し切るよ!!〜

「ラストで〜す!!」

「ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ・・・・」

「いきま〜す!!」

「ハイ!!・・・・」


記録・・・

5メートル・・・・

・・・

65

「何ぼって!?」

「今井さん、5メートル65でした・・・」

「あああああ〜・・・・・」

「あと5センチかぁ〜〜!!」


届かなかった北京パラリンピックへの切符

でも二人の気持ちはすがすがしいものでした。

「ここまで跳べるように指導してくれてありがとう!!」

「いえいえ、僕の方こそ感謝の連続でした!!」

がっちり手を握り合って、二人は笑顔になっていました。

もちろん、後ろ向きに考えればもちろん悔しいですが・・・

いや、でもこの経験は本当に大きな財産になりました。


2010年・・・

今でも私と今井さんはたまに連絡を取り合って一緒にトレーニングをしています。

なかなか文章で伝えることは難しいですが、私をここまで成長させてくれた今井さんに感謝の気持ちも込めて、文章にさせていただきました。

これからも共に横で走らせていただければと思います。

次回からは違う出会いを連載していきます^^









posted by T&F.net KOBE at 17:30| Comment(0) | 出会い
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